手術

手術適応について

初めに、手術適応についてです。
すべての手術には、適応があります。
適応には「絶対的適応」(例:癌の手術など病気を治療するのに絶対必要な場合)と「相対的適応」(例:膿が溜まって非常に痛い中耳炎の時の鼓膜切開術などその他にも治療法があるが、手術をしたほうが治療により有効な場合)があります。
適応がない場合手術をすべきではありません。
しかし、手術が必要なのに行わないと、病気が悪化する場合があります。

鼓膜切開術

[絶対的適応]
急性中耳炎で鼓膜の裏側に膿がたくさんたまって腫れている場合。発熱、激痛が続いている場合。

[相対的適応]
急性中耳炎で鼓膜の腫れはひどくないが、膿が少したまっている場合。中耳炎が反復している場合。
滲出性中耳炎で粘液がたくさんたまっていて、内服治療でも治らない場合。
と考えています。いずれにしても、中耳炎で膿や、粘液がたくさんたまっている場合は「鼓膜切開術」をしたほうが早く治ります。

[合併症・後遺症]
何回も鼓膜切開をすると、傷が閉じなくなることがあります。これは、個人差があります。
当院では、ほぼ全例[レーザーメス]で鼓膜切開をしています。金属製のメスとの違いは切開の正確さ、切開孔の確実性です。
鼓膜切開後は、鼓膜の傷がふさがるまでは切開した側に「水」を入れないように気をつけてください。

鼓膜チューブ挿入術

反復する中耳炎で、頻回に鼓膜切開をしなければコントロールできない場合に行います。鼓膜切開をした後で切開孔にシリコン性のチューブを挿入します。こさい耳鼻科では、レーザー鼓膜開窓装置でチューブと同じ直径で切開しています。着実にチューブを挿入できます。
チューブを入れる理由は、中耳炎を繰り返していつも鼓膜の裏側に液体が溜まって、空気が無くなってしまうと耳の穴の後ろ側にある骨の空洞が発育しなくなってしまうからです。この部分の発育が悪くなると、中耳炎になりやすくなったり聞こえが悪くなったりします。
チューブを半年から1年入れておくと、その間中耳炎になりにくくなりますし、聞こえ方も良い状態が続きます。また、空洞の部分も発育が良くなります。
良いこと尽くしのようですが、注意点もあります。チューブは自然に抜けることがありますから、アフターケアが大切です。きちんとアフターケアしないと鼓膜に大きな穴が開いてしまうことがあります。入れたチューブを主治医が取り除くまでは、治療は完了していないことをお忘れなく。

鼓膜穿孔閉鎖術

中耳炎などで鼓膜穿孔ができて、自然に閉じなくなった場合に行います。外来でできます。鼓膜穿孔の場所に、人工の薄い膜を接着します。
これは、メスを使わずに行う簡易な方法の手術です。症例によってはできない場合もあります。

耳介血腫開窓術

耳たぶ(耳介)を圧迫したりして、耳の軟骨の所に血腫(血液の入った袋)ができてしまう病気です。皮膚に麻酔の注射をして、メスで開いて内容物を取り除き、薬で洗います。

鼻・のど その他の手術

今のところ、当院では上に書いた手術しかしておりません。他の手術が必要となった場合は紹介いたしております。